はじめに
マイホーム購入時に大きな助けとなる制度、住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンの年末残高に応じて所得税・住民税が控除され、多くの方に税負担軽減の恩恵をもたらしています。
この制度も2026年からどうなるのか・・・まだはっきりとした提示はされておりませんが、継続になるのではないかというお話もあります。
住宅ローンの金利が上がり、資材も高騰している中、できるだけお家づくりに関して使える補助金や税制優遇は利用していきたいですよね!!

しかし、「控除された分をどう活かすか」「せっかく減税になった分を貯金や将来に向けた活用に結びつけるにはどうすれば良いか」という観点では、十分に考えられていないケースも少なくありません。
今回は「住宅ローン控除で得た恩恵を、ただ返済に充てるだけで終わらせず、貯金や将来の資金づくりに生かすための提案」を、考え方から具体的なステップ・注意点まで整理していきます。
住宅ローン控除の恩恵を「可視化」する
まずは、控除によってどれくらいのメリットがあるのかを把握しておくことがスタートです。
・制度概要のおさらい
住宅ローン控除は、住宅ローン(10年以上の返済期間が原則)を利用して住宅の新築・取得・増改築等をした場合、年末時点の借入残高に所定の控除率(現在は0.7%)を掛けた金額が所得税から控除される制度です。
また、所得税から控除しきれない金額がある場合には、翌年の住民税からも控除を受けられる場合があります。
たとえば、年末時点の住宅ローン残高が4,000万円の場合、“4,000万円 × 0.7% = 28万円”が控除可能額の目安という計算もできます。
お借り入れの仕方によってもこの金額は大きく変わってまいります。
詳しいシミュレーションはONE’S STYLE NISHIKAWAの資金計画で見させていただくことができますので、お気軽にお申し付けください。
・自分の場合の控除額を把握する
控除額=年末借入残高 × 0.7%(ただし住宅の種類・性能・入居時期等によって借入限度額や適用期間が異なります)
この「控除で得られる税金還付・軽減分」を「恩恵額」と捉え、「この分をどう活用するか」が生かすための鍵となります。
例えば、「控除で毎年10万円軽くなる」と分かれば、それを「毎月1万円ずつ別口座に貯める」「ローンの繰上返済にあてる」「子どもの教育資金としてプールする」など、選択肢が広がります。
恩恵を貯金・活用に結びつける3つの方向性
控除による“浮いたお金”的な視点を持ったうえで、具体的な活用方法として3つの方向性を提案します。
方向性①:借入返済ペースを上げて総支払額を減らす
恩恵として税金が軽減される分を「ローン返済にあてる」ことで利息の総額を減らし、長期的な支出を抑える方法です。
メリット
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ローン残高が早期に減ると利息負担が軽くなります。
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返済期間を短くできれば、控除対象期間とのバランスも取りやすくなり「控除+利息軽減」のダブル効果が見込めます。
注意点・組み立て方
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繰上返済にあてる前に、現金の確保(生活費3〜6か月分程度)もしておくことが大切です。
何かあった時のためのリスクに対応できる備えがあると安心です。 -
控除を受ける年数(最長13年など)やその住宅の性能・適用要件をご確認ください。
どんな住宅何かによって対象になる金額の上限が違ってきます。 -
あまりに返済を優先しすぎて、老後・教育・子どもの将来などへの備えがおろそかにならないようバランスも大切です。
方向性②:「貯金・積立」に回して未来リスクに備える
税制優遇によって“余裕ができた分”をそのまま貯蓄・運用に回すという選択肢です。
メリット
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手元資金が残るため、万一のときの安心感があります。
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将来の教育費・老後資金・リフォーム・住み替えに備える“余裕ポケット”をつくれます。
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控除期間終了後やご家族状況が変わった時に、収支の変化に対応しやすくなります。
貯金・積立の具体案
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控除によって浮いた金額を自動積立口座に設定→例えば「毎月1万円を定期積立」
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インデックス型の積立投資(リスク許容度に応じて)を併用
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教育資金用・老後資金用・リフォーム予備費用用と目的別に「貯める枠」を分ける
注意点
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貯蓄だけではインフレ・税・手数料などで実質目減りする可能性もあるため、運用方法の検討は必要です。
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住宅ローン控除が“ずっと同じ条件”で続くわけではなく、制度改正による影響を念頭に置いておきましょう。
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手元資金を貯めるあまり、ローン返済・生活支出・貯蓄のバランスが崩れないようにな管理も大切です。
方向性③:税制優遇の恩恵を“将来投資”として活かす
少し応用ですが、控除の恩恵を「未来の価値を創るために使う」方法です。例えば、住まいの快適性・省エネ設備アップ・資産価値維持・副収入の可能性などもあります。
活用のイメージ
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控除で浮いた分を設備グレードアップ(高性能断熱・太陽光パネル・スマートホーム)に充てる → 光熱費低減+資産価値アップ
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将来リフォーム費用の先取り貯蓄として活用 → 住まいを長く快適・安心に保つための投資
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住宅を賃貸活用・二世帯化・在宅ワーク対応スペース化などライフスタイル変化に備えて、手元資金を“住まい資産”に転じる準備に使う
メリット
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控除の恩恵を“消費”ではなく“投資”や“価値創造”に結びつけることで、長期的なリターンが期待できます。
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住まいの性能が高ければ、将来の売却・賃貸・住み替え時にも強みとなる可能性もあります。
注意点
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住まいや設備に関する投資には、初期費用と維持費・管理費用なども伴います。
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省エネ・資産価値などの“将来メリット”が必ずしも数値化できるわけではないため、コスト・ベネフィットを慎重に検討する必要があります。
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ライフスタイルの変化(家族構成・勤務地・用途など)によって、想定通りのメリットが出ない可能性も視野に入れておきましょう。
貯金・活用を実践するための「ステップ&チェックリスト」
では、実際に「住宅ローン控除の恩恵を活かす」ためには、どのようなステップを踏めば良いでしょうか。
ステップ1:控除額見込みの把握
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入居予定年・住宅ローンの借入残高見込み・返済期間・住宅の性能・控除率(0.7%)をもとに、「年間どれくらい節税できるか」をシミュレーションしてみましょう。 (例:借入残高4,000万円 → 0.7% → 約28万円)
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控除期間(10年または13年)・借入限度額・性能要件(省エネ基準適合住宅かどうか)を確認しましょう。
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手取りや家計支出・ローン返済金額とあわせて“手元に残せる”金額を見える化しましょう。
ステップ2:活用先の方向性を決める
上記3つの方向性(借入返済・貯金・将来投資)から、自分のライフプラン・リスク許容度・家族構成・将来設計をもとに優先順位を決めましょう。
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たとえば子育て期なら「貯金・積立」を優先、退職前なら「返済加速」を優先など。
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また、住まいの性能レベル・住宅会社と相談して、「将来価値を高める投資」に回せるかも検討しておくといいかもしれません。
ステップ3:毎月・毎年の仕組みをつくる
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毎年の税額控除によって浮いた金額を「別口座」「別積立」に移す習慣をつける。
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借入返済に充てるなら、繰上返済用口座などを設け、余裕資金として確保。
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将来投資用なら、設備更新・リフォーム費用・住まい改造資金として計画を立てる。
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年度ごと・見直しのタイミング(控除制度の改正・家族構成の変化・収入変動など)を設定しておく。
ステップ4:見直しを実施
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税制制度は改正される可能性があります。
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住宅ローン残高・返済状況・家族やライフステージの変化(子どもの誕生・転職・収入変化・引越しなど)を毎年チェック!!
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貯蓄・運用状況・住宅の性能維持状況(断熱・耐震など)を確認し、「住まい資産」の価値維持も検討しましょう。
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手元の「貯め先」「返済ペース」「設備投資」のバランスが崩れていないかを確認しましょう。
実践上の注意点と落とし穴
活用を図るにあたり、いくつか注意しておきたいポイントもあります。
・控除制度だけに頼りすぎない
制度があるから大丈夫、ではなく「制度は予告なく変更される」可能性があることを頭に入れておくことが大切です。
例えば、住宅の省エネ基準適合が必須となる改正が進んでいます。
制度変更で控除額が減る、適用条件が厳しくなる、というケースもありますので、控除を“丸ごと確定の収入”のように扱うのは危険です。
・手元資金(現金)を削って繰上返済ばかりに偏らない
繰上返済を優先するあまり、生活費や余裕資金を圧迫してしまうと、急な支出(病気・転職・災害など)で資金繰りが厳しくなることがあります。バランスを保つことが重要です。
・「貯める・運用する」際のリスクも考える
単に貯金に回す場合、インフレや手数料・税金で実質的な価値が目減りする可能性があります。
また、運用を検討するなら「リスク」「手数料」「運用期間」などを慎重に。住まいの性能維持やメンテナンス費用も別途必要です。
・将来の家族・住まい・ライフスタイルの変化に備える
例えば、転勤・子どもの独立・両親との同居・老後住み替えなど、ライフステージの変化によって「この住まいで良かったか」「返済・貯蓄計画は成立していたか」が問われることがあります。控除の恩恵があるからといって、住まい選びや返済計画を疎かにしないようにしましょう。
・住宅の性能・維持管理を軽視しない
控除を受ける際に住宅の性能(省エネ・耐震・断熱など)が要件になっているケースがあります。
また、住宅を建てた後もメンテナンスをしないと性能が低下し、光熱費増・資産価値減となる恐れがあります。
控除の恩恵以上に、住まいの長期的な維持を意識することが大切です。
おわりに
「マイホームを持つ=人生の大きなステージ」という言葉をよく耳にします。そこには“住まいとして暮らすこと”以上に、“資産として守る・価値を維持する”という観点も含まれています。
そして、住宅ローン控除という制度は、まさにそのマイホーム取得を支える大きな手助けです。ただし、控除を「得た恩恵」にとどめず、「貯金」「返済」「将来投資」といった形で賢く活かしてこそ、人生全体の資産形成・安心につながると言えると思います。
ぜひ今回の提案を参考に、「控除=浮いたお金」ではなく、「控除=活用のきっかけ」と捉えて、設計・返済・貯蓄・住まい維持のトータルなプランを組んでみてください。
ONE’S STYLE NISHIKAWAでは、お家づくりをどんなふうに計画していけば良いか、資金計画シミュレーションで一緒に考えたりご提案もさせていただいております。
お気軽にお申し付けください。